公開ガイド · 概念 · 公開 2026-09-20
LLMOとは?SEOとの違いと、LLMO対策で実際にやること
生成AIの回答に自社の名前が載るかを扱うLLMOについて、SEOとの違いと用語の呼び分け、2026年9月20日にChatGPTで実際に測った結果、そして根拠のある施策と仮説の区別をまとめます。
LLMOとは、ChatGPTのような生成AIが質問に答えるとき、その回答の中で自社の名前が挙がるようにする取り組みです。
読みは「エルエルエムオー」、Large Language Model Optimization の略とされます。検索結果ページは10本前後のリンクを並べますが、生成AIが返すのは1つの回答文です。そこに載る社名は数社しかありません。この記事では、その「数社」に入るために何を見るのか、そして何をどう測るのかを、実際に測った数字とあわせて説明します。測定の仕様はGEO計測の仕様ページにまとめてあります。
なぜ今 LLMO なのか:回答に載る名前は数社しかない
主張として書くより、測ったものを先に出します。
- 測定日:2026年9月20日
- エンジン:ChatGPT(OpenAI公式API経由。ブラウザ版のChatGPTではありません)
- カテゴリ:グループウェア/市場:日本
- 照合したブランド名:サイボウズ
- 方法:買い手の言い回しで質問を3つ生成し、各1回ずつ聞きました。質問文にブランド名は入れていません。生データは
docs/content/runs/J1.jsonに保存しています。
実際に投げた質問は以下の3つです。文面はそのまま載せます。
- 中小企業向けで使いやすいグループウェアのおすすめベンダーはどこですか?
- 日本国内で導入実績が多いグループウェア製品を比較して教えてください。
- 予算10万円以内で導入可能なグループウェアのおすすめはありますか?
結果です。
| 質問 | サイボウズへの言及 |
|---|---|
| 1. 中小企業向けで使いやすい…… | あり |
| 2. 国内で導入実績が多い…… | あり |
| 3. 予算10万円以内で…… | なし |
同じ3つの回答に出てきた他社の名前は次の通りです。
| 回答に出た名前 | 3件中、出た回答数 |
|---|---|
| kintone | 3 |
| Microsoft 365 | 3 |
| Google Workspace | 3 |
| Garoon | 2 |
| LINE WORKS | 2 |
3問目は、先に「初期費用か月額か」「利用人数は何人か」と条件を聞き返したうえで候補を挙げており、その候補にサイボウズは入りませんでした。失敗した測定ではありません。これも1件の回答として分母に数えます。
ここから読めることが3つあります。
回答ごとの顔ぶれは狭い。 上の表で名前が挙がったのは5社ぶんです。検索結果の10本と違い、回答に載らなければ比較検討の候補として画面に出てきません。
会社名と製品名は別々に扱われます。 回答は「サイボウズ(kintone / サイボウズ Office / Garoon)」という書き方をしていました(runs/J1.json の回答1)。kintone と Garoon はサイボウズの製品ですが、抽出の段階では別の名前として出てきます。自社を何という名前で呼ばれたいのかを決めてから測らないと、言及率は実態より低く出ます。
引用元は自社サイトだけではありません。 回答に付いていた参照先には garoon.cybozu.co.jp、microsoft.com、workspace.google.co.jp、line-works.com といった公式サイトに混じって、app-tatsujin.com のような第三者の比較記事が入っていました(同ファイルの回答1〜3)。自社ページを直すだけでは届かない範囲があるということです。
SEOとの違い
| 従来のSEO | LLMO | |
|---|---|---|
| 対象 | 検索結果ページに並ぶリンク | 生成された1つの回答文 |
| 勝ち方 | 自分のページが上位に入る | 回答の中で名前が挙がる、引用される |
| 結果の安定性 | 同じ検索語なら、並びはおおむね同じ | 同じ質問でも回答は変わる |
| 測り方 | 順位を1回確認すれば足りる | 複数回の試行から比率を出す |
実務でいちばん効いてくるのは最後の行です。順位チェックと同じ感覚で1回だけ聞いて「出た」「出なかった」と判断すると、判断を誤ります。上の実測でいえば、たまたま3問目だけを見た人は「まったく言及されない」と結論し、1問目だけを見た人は「問題なし」と結論します。同じ日の同じエンジンで、です。
SEOをやめてよいという話ではありません。生成AIが参照しているのはウェブ上の文書であり、取得できない文書は引用できません。ただし「上位に出ているから回答にも載る」とは限らず、そこは別に測る必要があります。
LLMO・AIO対策・GEO・AEO の呼び分け
| 呼び方 | 主に使われる場所 | 指している範囲 | 本記事での扱い |
|---|---|---|---|
| LLMO | 日本語圏 | 大規模言語モデルの回答内での可視性 | この記事の主題 |
| AIO対策 | 日本語圏 | ほぼ同義。GoogleのAI OverviewsやAIモードを含めて語られることが多い | 対象の面が異なるため、この記事では扱いません |
| GEO(Generative Engine Optimization) | 英語圏、学術 | 同義。論文「GEO: Generative Engine Optimization」(Aggarwal ほか、arXiv:2311.09735、KDD 2024)で提示された語 | 後述の根拠はこの語で書かれています |
| AEO(Answer Engine Optimization) | 英語圏 | 回答エンジン全般を指す語として使われます | 実務上はLLMOとほぼ重なります |
用語の違いで手法が変わるわけではありません。 変わるのは「どの面を対象にしているか」です。ここだけは混ぜずに確認してください。ChatGPTの回答とGoogleのAI Overviewsは別の面で、測り方も出てくる数字も違います。
なお、当社が計測しているのは ChatGPT、Gemini、Perplexity の公式APIです。GoogleのAI OverviewsおよびAIモードは当社の計測範囲外です。 この記事に書いてある数字から、Googleの回答欄の状況は分かりません。
LLMO対策で実際にやること
ここは根拠の強さがばらつく領域です。項目ごとに【根拠あり】か【仮説】かを明示します。仮説と書いてあるものは、やってはいけないという意味ではなく、効果を自分で測ってから続けるか決めてくださいという意味です。
【根拠あり】本文の書き換えには効果の余地がある
論文「GEO: Generative Engine Optimization」の要旨は、コンテンツ側の書き換えによって生成エンジンの回答内での可視性を「up to 40%」高められたと報告しています(arXiv:2311.09735、KDD 2024)。また、効果はドメインによって異なるとも書かれています。
ただし要旨の範囲では、どの書き換えがどれだけ効いたかまでは特定できません。したがって以下の個別施策のうち、この論文を根拠に「効く」と言えるものはありません。個別の施策は仮説として扱います。
【根拠あり】自社ページが取得できる状態にあるか確認する
取得を拒否している文書は引用できません。これは仕組み上そうなります。robots.txt でAIのクローラーを弾いていないか、ログイン必須になっていないか、本文がJavaScriptでしか描画されていないかを確認してください。
対象のユーザーエージェント名の一覧はこの記事には載せません。名称も方針も変わるため、OpenAI や Perplexity の公式ドキュメントで都度確認するのが確実です。
【根拠あり】自社が何という名前で呼ばれているかを先に決める
前述の実測の通り、回答は会社名ではなく製品名で語ることがあります。会社名だけを照合対象にしていると、製品名で挙がっていても言及なしと記録されます。照合する名前(会社名、製品名、表記ゆれ)を決めてから測り始めてください。
【根拠あり】自社サイト以外の引用元も見る
実測で引用されていたのは公式サイトだけではありませんでした。第三者の比較記事が引用されているなら、そこに自社の情報が正しく載っているかどうかが自社ページの文言より先に効く可能性があります。どこが引用されているかは、測れば毎回リストで出てきます。
【仮説】定義文を段落の先頭に置き、見出しを完全な疑問文にする
引用しやすい形だという説明はよく見かけますが、当社は同じページの前後比較を取っていません。もっともらしいというだけです。
【仮説】構造化データ(Schema.org)を付ける
検索エンジン向けの仕様であり、生成AIの回答選択に効くという検証結果を当社は持っていません。SEO側の理由で付けるのは別途もっともな話です。
【仮説】llms.txt を置く
非公式の提案です。当社は設置の有無で結果が変わるかを検証していません。置くこと自体の手間は小さいので、検証せずに置くなら「効くと確認した施策」の列には入れないでください。
効果をどう測るか
手順は4つです。表計算ソフトだけでも回せます。
- 質問をつくる。 購買を検討している人が実際に打ち込む言い回しにします。質問文に自社名を入れてはいけません。 入れれば必ず言及されますが、それは何も測っていません。
- 同じ質問を複数回投げる。 回答は毎回変わるため、1回の結果は常態を表しません。毎回新しい会話で聞きます。
- 4項目を記録する。 言及の有無、回答内でのおおよその位置、引用されたURL、同時に挙がった競合名。競合の列を省く人が多いのですが、自社の数字が動かないときに理由を探せるのはこの列です。
- 比率にして、翌週も同じ質問で繰り返す。 言及率は「自社が出た回答数 ÷ 有効回答数」です。質問を書き換えてしまうと前週と比較できません。
この記事の実測は2の条件を満たしていません。3問を各1回だけなので、比率としては粗いものです。2/3という数字を「言及率66.7%」と書くのは正確ではありません。3回の試行から出る比率は、小数点以下を書けるほどの精度を持っていないからです。小標本では点の値ではなく、信頼区間で幅を見ます。
当社の計測では、無料の検測がこの記事と同じ条件(ChatGPT、質問3つ、各1回)、有料の監視が質問ごと・エンジンごとに3回を週次で、という設計です。条件と指標の定義はGEO計測の仕様に書いてあります。自社の名前で1回試すなら、無料計測から始められます。
よくある質問
LLMOとSEOは何が違うのですか?
対象が違います。SEOは検索結果ページに並ぶリンクの順位を対象にし、LLMOは生成された1つの回答文の中身を対象にします。そのため測り方も変わり、順位は1回確認すれば足りますが、回答は複数回の試行から比率を出す必要があります。
LLMO対策とは具体的に何をすることですか?
大きく分けて、測ることと直すことの2つです。測ることは、自社名を入れない質問セットをつくり、複数回聞いて言及の有無・位置・引用元・競合名を記録することです。直すことは、取得できる状態の確認、照合する名前の整理、引用されている第三者ページの確認までが根拠のある範囲で、本文の書き方や構造化データは現時点では仮説の扱いです。
LLMOとAIO対策は同じものですか?
日本語圏ではほぼ同義で使われますが、AIO対策はGoogleのAI OverviewsやAIモードを含めて語られることが多い語です。対象の面が違えば数字も対策も変わるため、どの面の話なのかを最初に確認してください。当社はGoogleのAI Overviewsを計測していません。
LLMO対策はどのくらいで効果が出ますか?
当社は前後比較のデータを持っていないため、期間をお答えできません。期間を約束している説明を見かけたら、その根拠として何を測ったのかを確認することをおすすめします。実務的な進め方は、同じ質問セットで週次に測り、前の週と信頼区間が重ならなくなった時点で「変化があった」と判断する形です。
質問文に自社名を入れて聞いてもよいですか?
測定用の質問には入れないでください。「サイボウズはどうですか」と聞けばサイボウズの話が返ってきますが、それは言及されたのではなく、こちらが名前を出しただけです。今回の実測でも、3つの質問のいずれにもブランド名は入れていません。
1回だけ聞いて判断してもよいですか?
おすすめしません。2026年9月20日の実測では、同じ日の同じエンジンで、3問のうち2問で言及あり、1問で言及なしという結果でした。どの1問を見るかで結論が逆になります。
GoogleのAI Overviewsでの表示も測れますか?
当社の計測範囲外です。当社が計測しているのは ChatGPT、Gemini、Perplexity の公式APIによる回答で、Googleの回答欄の表示状況はこの数字から推定できません。
この記事の実測データ(質問文、回答、抽出された名前)は docs/content/runs/J1.json に保存しています。指標の定義とサンプル数の設計はGEO計測の仕様ページをご覧ください。